葛西俊治「身体心理療法」イギリス2009

〜自閉症の子供とロボットとのミラーリング・セラピー〜



  • 自閉症の子供とロボットとのミラーリング Dr. Ben Robins (6/19,2009)


  • "Effect of repeated exposure to a humanoid robot on children with autism"
    「自閉症の子供へヒト型ロボットを繰り返して呈示することの効果」




    ロボットに会ってきました!! 「自閉症の子供とロボットとセラピスト」という三者関係の中で、ロボットとのミラーリングなどを通じてセラピストとの関係がしていくなどの交流の中で社会的関係化が促進されていくのがよく分かりました。

    なお、ロビン博士はダンスセラピストという経歴があるので、実はロボットが問題なのではなく、「ロボット」という媒介を置くことによって、間接的な関わりを可能にしていることが、自閉症児によっては近寄りやすい状況になっている…可能性があります。その際、間にいて関係を仲介しているロビン博士が「ダンスセラピスト」という身体心理的な感性を前提にしていることが大きな意味をもっていると考えられます。

    学校などで自閉症児の指導を担当する先生方は、それまでの経歴の中で、また、実践を通じてそうした能力を育ててきたわけですが、そうした能力を「ダンスセラピー」という枠組みで指導していく…。そうした領域がダンスセラピーの一つの可能性としても考えられそうです。(7/2, 2009)

    現在、研究中の内容を聞いてみました。意外に秘密なのかもしれませんが(^_^;V 

    1. プロのパントマイムの人(Covant Garden路上でパフォーマンスしている専門家)に機械的に動いてもらうと、衣装・化粧で人らしさを消すと自閉症児は喜んで駆け寄ってくるが、衣装・化粧などを施していない普通の人の状態で同じロボット・マイム動作をしても、自閉症児は関わってこない。

    2. 自閉症児・ロボット・セラピスト(Dr.Ben Robins先生はダンスセラピスト!)の三者関係の中で、社会関係的やりとりが促進されること。

    3. 相手がロボットだと自閉症児が積極的に関わって触れていくという関係がなぜか容易が実現できること。(ロボットの頭や手やまぶた、口などを動かしているモーターの機械音が気に入っている…可能性あり)

      自閉症児とのワーク経験のあるHelen Payne先生によると、一回30分くらいのセッションを何回も続けて、ようやく自閉症児との関係的ワークが始まるのに対して、ロボットだとほぼ即座に「関係」が始まっているのは、非常に効率的だというコメントがありました。

    4. そうした三者構造を用いて、広義での多様なセラピストの訓練を行う可能性が考えられること。

  • マド・サイエンティストの風貌がBen Robinsさん。女性はHelen Payne教授。

    ロボットのKasper カスパー君です!

    得意技は流し目だったりします…。

    Ben Robinsさんはダンスセラピストとしてどうしようか…と思案していた頃、「ダンスをするロボット…」といっても当時は手足をバタバタさせるような代物…という研究領域(博士課程)に出会って以来、こうしたセラピー的な方面に関心をもっていたようです。


  • 9月に日本訪問の予定だそうです(東京)。
    関心のある方は葛西までお知らせください。中継ぎをいたします。


visiting researcherとして下記にて研究しています。

(C/O) Professor Helen Payne,
Meridian House,32 The Common,Hatfield,
Herts AL10 0NZ, UK
School for Social, Community and Health Studies,
University of Hertfordshire, UK

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