日本ダンス・セラピー協会初代会長の梅田忠之先生は、耳鼻咽喉科・心療内科・内科・小児科をもつ梅田医院の医師として活躍されておりました。(2005
年、ご逝去されました。)
梅田先生は医師としての領域に留まらず、戦後の荒廃した中から立ち上がっていく人々を目の当たりにしつつ、人々の生き方・在り方に豊かな影響を与えるダン スの可能性に気づき、様々なダンスに体当たりして学ばれただけでは、臨床心理学ならびに催眠法(日本催眠医学心理学会認定催眠技能士)を習得されました。 さて、ご著書の前書きには次のような記述があります。(以下、引用) 「なぜダンスをはじめることになったのか、とよく聞かれます。意外ですが、1945年の 東京大空襲が動機になったように思います。私達は隅田川を東へ 渡って、焼け残った国民学校で避難者の救護にあたりました。戦災者も医療側もショックは大きいものでした。戦争が終わって、街を歩き、有楽町でいち早くダ ンスホールが復活しているのを見ました。陰から陽への大転換の時代がきたのです。ダンスムーブメント・セラピーとしての構成はそれぞれに異なったものでありながら、「動的および静的なセルフコントロール体験」であることが、セラピー としての深さと豊かさとを生み出してくるという点において、私自身が催眠医学心理学会に所属して無意識領域への働きかけについて研究していることもあり、 とくに共感を覚えました。梅田先生のダンス・セラピー理論と札幌ダンスムーブメント・セラピー研究所における理論的立場 と実践が、結果的にそれほど遠くない地点にあったことに今更ながら気がつくとともに、実践の積み重ねの中で共通の要素にたどり着いてきたことにずっしりと した手応えを感じています。 (葛西追記。7/20,2006)
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